服が好きになり古着にどっぷりハマり

買えないにしろ、より古いものを掘っていると

おそらく1920年以前と思われるボロボロのワークウェアに出会った。

その頃はもうすでに縫製とパターンを身に付けていたので

縫製仕様を見るため服の裏側を見るクセが付いていた。

それを見ると明らかにそれまで見てきたワークウェアの縫い手順と違った。

袖、股周りがスーツの縫い方。

それはテーラーさん達がワークウェアを縫っていた時代のものかもと仮説を立てた。

確認せずにはいられなかったので100年以上前の服の裏側を

チャンスがあれば見ての確認の繰り返し。

過去のことだし確認しようもないので

とりあえず作ってみた。

先ずはTrousers of Freedomのプロトタイプを。

テストで履いてみると履き心地バッチリ。

1920年のアメリカは大量生産時代の始まったころ。

ミシンでのチェーンステッチが出てきて

ボビンに糸を巻く必要がなくなり

2本針の巻き縫いミシンでアイロンも要らず

直線に近いものであれば一手間で縫い上げることができるようになった。

袖先から身頃脇下まで、大股(裾内側から反対側の裾内側)を最後に縫うように。

筒になったものを巻き縫いミシンで合わせることはできないので

スーツの袖の縫い方はなくなり、

股下縫い仕様もトラウザーズではなく

リーバイスのように大股を最後に縫う仕様。

これで効率が良くなり皆が安く

ワークウェアを手に入れる事ができるようになった。

着心地と引き換えに。


それに気付いた後ユニオンスペシャルなどの

ヴィンテージミシンでの再現への興味を失い

本縫いのみでの縫い仕様を研究。

着心地を追求するためテストを繰り返し

誰が着ても実感できる着心地の良い服を作る事をテーマに据えた。

SCLAP Hideki Nisihiyama